チェヨンに恋してソウル編19

夜勤を終えたウンスが昼過ぎに帰ってきた。

心配そうに屋敷の門の外で待つチェヨンに、タクシーで帰ってきたウンスは思わず笑みを浮かべた。

なんで、外で待っているのかしら。

タクシーを降りて、ウンスはチェヨンの腕に自分の腕を絡ませた。

ただいま

遅かったな。疲れただろう。

チェヨンはウンスの荷物を持つと、ウンスの手を引いて屋敷の中へと入っていく。

どうしたの?何かあった?

いや、何もないが。帰りが遅いので心配していた。

夜に入院が続いて、家族の人と面談したりしていたら遅くなちゃった。

ご飯食べた?

まだだ。用意は出来ている。

お腹空いた〜。朝ご飯も食べれなかったの。早く食べよ。

ウンスは洗面所で手を洗い、急いで部屋に向かった。

チェヨンと並んで用意された昼食に手を付ける。

勢いよく食べ始めたウンスだったが、疲れからか途中からぼーっとし始める。

なんとか食べ終わったウンスは眠い目をこすりながら風呂に入って行った。

少しだけお昼寝するね。仮眠が取れなかったからもう限界

そう言って布団の中に入って行く。

眠るまで抱いててくれる?

ウンスはそう言って、布団の片側を開けた。

チェヨンが布団の中に入って来ると、布団を掛けてチェヨンの腕の中に潜り込んだ。

温かくて幸せ。やっぱりお日様の匂いがする。ヨンの匂いで元気になる

すっと眠りに落ちて行ったウンスを見てチェヨンは口元に笑みを浮かべていた。

小さな身体をぎゅっと抱きしめる。

夕方になって目が覚めると、チェヨンは庭で鬼剣を持ち素振りをしていた。

布団の中から抜け出すと、縁側の戸を開く。

チェヨン一点を見つめて集中していた。

やっぱり剣が良く似合うしカッコイイ。

暫く続けたチェヨンが大きく息を吐いてから刀を収めた。

起きたのか。よく寝れたか?

うん。寝過ぎね。ねぇヨン。今晩デートする?

構わぬが。疲れているのでは?

映画を見に行きたいの

えいが?確か、巨大なテレビみたいなものだと習った。

そう、凄く大きなテレビみたいなもの。映画デートも憧れだったの!

寝てすっきりしたから、遊びたい気分なの。行こう!

部屋を出た二人は丁度、帰宅したチャン医師と出くわした。

チャン先生お帰りなさい!これからヨンと映画を見て来ます。

デートですか?いいですね。ユ先生ちょっと待っていてください。

そう言ったチャン医師はチェヨンを部屋に呼び、何やら話をしていた。

暫くして帰ってきたチェヨンと、屋敷を出てチャン家の使用人の運転する車で街中へと向かって行った。

チャン先生何だって?

楽しんでこいと。

そう?

何やら楽しそうに笑ったチェヨンに疑問を持ちながらもウンスはぼんやり外を眺めていた。

映画館に着くと、その大きな建物を見上げるチェヨン

信義?

漢字で書いてあったタイトルをチェヨンが読んだ。

うん。これ見たかったの。

ウンスが目を輝かせて映画を見ていた。

チェヨンは余り興味はなく、売店で買ったホットドッグを頬張りながら、ウンスの事ばかり見ていた。

見ていて飽きないな。

表情がよく変わり面白い。

ふと目があったチェヨンにウンスが笑いながら腕を組んで、また映画を見始めた。

真剣になったウンスの瞳薄っすらと涙が光り、ウンスが目頭を押さえた。

チェヨンが映画のスクリーンに視線を移す。

武人が大きな木の下で長年別れていた美しい女子と再会を果たしている場面だった。

再び視線をウンスに移すと、涙を拭いてほっと息を吐き、チェヨンの顔を見て微笑んだ。

微笑み返したチェヨンは、ウンスの涙の跡を指でなぞると、頬に手を置き、

身を乗り出してウンスに口付けをした。

映画の主人公に自分の事を重ねて見ていたウンスは、再会できた武人と何年振りかの口づけをしたかのようにうっとりとしてしまっていた。

後ろや、両サイドの客の視線など忘れ、映画館の照明が灯されるまでその口づけは続いた。

明るくなった映画館にウンスが我に返り、唇を離し顔を赤らめ俯いた。

チェヨンはウンスの濡れた唇を自分の親指でなぞると、ウンスの手を引いて映画館を後にした。

映画館を出ると、チャン家の運転手が終わる時間に合わせて迎えに来てくれていた。

ウンスとチェヨンはその後部座席に乗り込んだ。

手を繋いだままの二人は目も合わさずお互いが窓の外を見ていた。

チェヨンの触れていた唇の感触も温かさも残っていて、ウンスの鼓動はまだ高鳴ったままだった。

火照った顔を見られないようにチェヨンから視線を外していたが、窓越しに見えるチェヨンの事ばかり見ていた。

繋いだてから、この鼓動の速さが伝わっているかもしれないと思うと、ウンスは更に落ち着かなかった。

程なくして、車が止まり運転手により車のドアが開けられたがそこは屋敷ではなかった。

チェヨンはウンスの手を引いていく。

ウンスは見上げると、そこ凄く高そうなホテルだった。

え!?

ウンスは驚きながらも手を引かれていく。

チェヨンがジャケットの内ポケットからルームキーのカードを取りだした。

チェヨンはチャン医師に言われた通り、ホテルを入って真っ直ぐ進み、一番奥に位置するエレベーターに乗った。

エレベーターに居たスタッフはチェヨンの手にするキーを目にすると、頭を下げて最上階のボタンを押した。

ね、ヨン。どうしたの?ホテルなんて泊まった事もないでしょ?受付を通らなくていいの?

侍医が此処を使えと。真っすぐ部屋に行けと言っていた。

え!?

デートとやらのあとは宿の泊まるのがこの世界の慣わしなのだろ?

チャン先生どういうつもりよ。

ヨンに変な事を教えて。

本当に泊まるつもり?

こんな高級ホテルなんて泊まった事ない。

エレベーターが止まると、そのルームキーに書かれている数字と同じ数字の部屋を探し、チャン医師に習った通り、そのキーを手すり付近にかざした。

ピッという電子音が聞こえるとチェヨンがドアノブを開いた。

扉を開けて中に入っていくチェヨンに手を引かれたままウンスも恐る恐る中へと入っていく。

入るなりウンスはチェヨンに身体を壁に押し付けられて唇を奪われた。

急な激しい口づけに、落ち着いたばかりなのに身体が火照りだしてしまう。

両方の腕も掴まれ、壁に押し付けられて激しい口づけだった。

脚の力が抜け始めてしまったウンスの身体を抱きかかえると奥にあるキングサイズの大きなベットに押し倒した。

再び深い口づけが降って来る。

チェヨンはウンスの唇を離す事無く、自分のシャツに手を掛けボタンと外していく。

ボタンが全部外れてしまうと、ウンスのシャツのボタンに手を掛けた。

途中でその手がピタリと止まり、チェヨンが顔を上げた。

ウンスは閉じていた目を開けチェヨンを見る。

抱いても大丈夫か。

え?

その体は、もう痛まぬか?

だ大丈夫。

そうか。

シャワー浴びたい駄目?

もう待てぬ。

そう言ったチェヨンが再びウンスのシャツを脱がし、下着も外してしまう。

あっという間に脱がされ、ウンスは恥ずかしさに顔を背けて自分の腕で身体を覆った。

この足の見える衣は駄目だ。他の男にウンスの脚を見せたくない。

え。でもひざ丈のスカートよこれくらいなら

そう言ったウンスがジロリとチェヨンに睨まれた。

わわかりました。気をつける。

チェヨンの大きな手がスカートの中に入り込み、優しく足を撫でていく。

それだけで思わず声が出そうになり、ウンスは口を噤んで声を堪えた。

それも長くは続かず、

その手が更に奥へ進んだ時には、声を抑えることが出来なくなっていた。

チェヨンの手の動きだけに集中し、チェヨンの息遣いにだけ集中に、そしてその濡れ光るチェヨンの黒い瞳を見ていた。

覆い被さってきたチェヨンが耳元で愛してると呟いた、激しく揺さぶられて何も考えられなくなっていく。

チェヨンの身体がとても熱くて、鼓動が早くて、そんなチェヨンに必死にしがみついていた。

痛みはなかったけどとても熱かった。

熱くて溶けそうで、チェヨンに溶かされてしまいそうで怖かった。

何時間抱かれているのか、時間の感覚もなくなってきてしまう。

時計を見る余裕もなく抱かれ続けたウンスの意識が朦朧とし始める。

何度も昇りつめたウンスが意識を手放してもチェヨンの動きは止まらず。

それから程なくして小さく呻き声をあげたチェヨンがウンスの隣りに倒れ込んだ。

チェヨンは意識の無いウンスの手を握り指にそっと口づけをした。

ウンス。好きだ。早く帰って結婚したい。ウンスを俺だけのものにしたい。

ウンスを抱きしめそう呟いた。

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