時の糸12

学校の帰りに俺は潤くんを家に誘った。

行ってみたい。

って、言ってくれて

母ちゃんがおやつを作って待っているはずなんだ。

俺たちを

ただいま。

お帰り。

まあ、坊っちゃん

いらっしゃい。

取引先の息子ではあるけど

あまり固くならないように

いつもの友達と接するように

母ちゃんは迎えてくれた。

俺の部屋に行く前に

お茶の間でおやつを食べようってことになって

お茶の間に連れて行く

その時

ジャジャジャージャーン

と、風呂敷をマントに

突然、まーくんが飛び出してきた。

それを見て驚いて固まる潤くん。

もータイミングが違うじゃん。

本当は俺たちが座って

お菓子を食べ始めたところに

偶然遊びに来た呈で顔を出すはずだったのに

俺は頭を抱え

な、なんでまーくんがいるんだよ。(俺)

と、俺は態と驚いたふりをした。

え?

だってなんで?(雅紀)

と、慌ててキョロキョロしてるまーくん。

そこに、

なにやってるのよ。

まーくんたらおかしいんだから。

ほら、皆。

出ておいでなさい。

皆でドーナツ食べるわよ。

と、なにも知らない母ちゃんが

潤くんの肩に手を置いてお茶の間に誘導した。

まーくんのフライングのせいで

ニノと翔くんが隣の部屋から

渋と出てきて

俺にすまん。と手で合図をする。

あら、何してるの?

ほら座った座った。

と、母ちゃんが急かすから

俺たちはいつもの場所に

いつものように座った。

そして、空いてる場所に潤くんを座らせて

母ちゃんがカルピスを出してくれた。

やった〜。

カルピス、カルピス。

と、まーくんが大喜びで跳び跳ねてる。

テーブルに母ちゃんが作ってくれたドーナツが運ばれてきて。

まーくんはこれも大好物だから

わくわくが止まらないようで

まだ?

まだ?

と、手を伸ばしては引っ込めてを繰り返す。

まーくん。

お行儀が悪いでしょ。

と、翔くんがたしなめて

母ちゃんの

はい。

召し上がれ。

の合図で皆が一斉にドーナツに手を伸ばした。

はい。

早く取らないと直ぐに無くなっちゃよ。

母ちゃんのドーナツ美味しいから。

俺はひとつを潤くんの手に渡した。

ドーナツを受け取って

ジロジロ眺め、食べようとしない潤くん。

食べないの?

ドーナツ嫌い?

と、覗きこんだ。

まーくんは、両手に持って食べてるって言うのに

おばさんのドーナツは

いつ食べても美味しいね。(雅紀)

って

なのに、ドーナツと俺たちを見て

策略に気づいたのか

なんで

なんで(お前らが)いるんだよ。

って、呟くと

出ていこうと立ち上がった。

丁度その時、入ってきた母ちゃんと

出ていこうとする潤くんがぶつかって

あら。

潤くん、どうしたの?

ドーナツ持ってどこに行くの?

立って食べちゃだめよ。

と、また座らせた。

母ちゃんは潤くんの隣に座ると

学校楽しい?

どんなことして遊んでるの?

他に友達出来た?

などなど、潤くんに優しく語りかけた。

それに対し、潤くんは良い子になって

ちゃんと座ってドーナツを食べながら答えてた。

その脇ではドーナツを巡る戦争が

勃発していたけどね。